古典芸能の面白さ、本物の良さを感じていただけると嬉しいですね

杵屋 勝七郎さん 

長唄三味線演奏家



日本を代表する長唄三味線演奏家のおひとり杵屋勝七郎さん。

初代猿翁の『黒塚』の隈取りが飾られた京都のお稽古場でお話を伺いました。



日本舞踊家の父に勧められて三味線を習いはじめたのは小学5年生でした。

面白くてハマったんです。下手やのにね。6年生の時には三味線弾きになると決めてました。中学生になり、母親に連れられて三代目市川猿之助さんの歌舞伎『黒塚』を観に行きました。


こんなパフォーマンスがあるんや、と雷に打たれたような衝撃を受けました。


いつかこの『黒塚』という曲を弾けるような三味線弾きになりたいとの一心で練習にはげみ、17歳で長唄三味線奏者として猿之助さんの『黒塚』に出演を果たしました。

この曲を演奏できたことが自分の礎になっていると思います。

ーカジュアルな蝶ネクタイ姿、舞台でのイメージとずいぶんギャップがありますね。



ふだんも着物で過ごしているように思われますが、洋服は大好きです。ボウタイは、誕生日に家内からプレゼントされて、気に入って翌日からつけるようになりました。


顔見世で『連獅子』に出ていた頃で、毎日、蝶ネクタイで南座に通っていると、皆からいいね、いいねと言われました。スーツの時にも着けますし、いろんなシャツと組み合わせて楽しんでいます。

「こんな格好で全然三味線弾きに見えない」と言われるのは嬉しいことなんです。

古典芸能をご存知ない方には、堅苦しくて、なにやら立派なことをしているみたいに見えてしまうらしいんですが、そうじゃないんだと伝えたいんです。


長唄、落語、能、狂言、歌舞伎、お囃子、日本舞踊、芸妓さんの演奏など古典芸能もいろいろありますが、各々のファンのほとんどは、その分野しか見に行かれないでしょう。


長唄を中心に古典芸能を横断して楽しんでいただく会を開いたりして、垣根をなくして、門戸を広げて、できるだけたくさんの方に見て聴いていただきたいと思っています。


ただ、あまりにハードルを下げて崩してしまうと、ニセモノになってしまう。

クオリティを高く保ち、初めて古典芸能に触れた方にも「本物ってやっぱり良いな!」と思っていただけたら嬉しいですね。